-
大転換の波にさらされる医療業界
看護業界の現状に注目
これまで看護師の職場は病院が一般的でしたが、社会の変化に応じて看護師の活躍の場も拡大しています。高齢化社会の今は在宅医療の要となる訪問看護ステーションや介護施設で働く看護師も増えています。
-
これから先、看護師はどうなっていくのか
変化する看護市場
様々な理由で在宅医療が推進されていますが、在宅医療は最低限の準備の中で処置するため軽症にしか対応できません。重症患者は病院に運ばれるため、病院勤務の看護師は今以上に激務になることでしょう。
-
未来を見据えたキャリア構築を
4つのキャリアパス
転換期を迎えている今だからこそ、将来についてしっかりと考えておくべきです。ただし、漠然と考えても意味はありません。目標達成に向けて具体的なスケジュールを立てた方が行動しやすくなります。
高齢者看護のニーズが高まる
高まる高齢者看護のニーズ
高齢化に伴い、老人ホームや訪問看護サービスの需要が拡大し看護師のニーズの幅も広がっています。病院でも高齢者の患者が多いのですが、その中には認知症の症状を持つ患者もおり、どのように対応していくのかが問題になっています。認知症の症状はそれぞれですが、食事を拒否する患者や看護師の指示に従わない患者もいます。そのような患者に対して他の患者と同じような対応では不十分です。もっと目を配って手厚く看護していかなければなりませんが、慢性的な人手不足の中では難しいでしょう。
看護師不足は在宅医療でも
在宅医療を選択する高齢者も少なくありません。ですが、需要に対して訪問看護の供給が追い付いておらず、量的にも質的にも不十分なことが課題となっています。
量的な問題は訪問看護ステーションや訪問看護師の数を増やさなければ解決できません。日本看護協会では訪問看護を必要とする人は2020年に100万人を突破すると予想しています。これだけ多くの需要を満たすには、「新卒訪問看護師」を増やすしかありません。訪問看護は看護師が1人で利用者の自宅を訪問して必要なケアをするため、ある程度の経験がなければ難しいと思われていたため、病院で経験を積んだ看護師が訪問看護師に転職するパターンが一般的でした。ですが、転職組を待っている余裕はなく、新卒者を受け入れて十分な教育を施して戦力になってもらった方が早い、というのが現状です。
そのため、新卒看護師を戦力にするために教育に力を入れている訪問看護ステーションが増えています。独り立ちできるまでは先輩看護師が同行して指導してくれたり、病院と連携して外部研修が受けられるようにしたり、と積極的にスキルアップの機会を設けています。
看護師のキャリアアップといえば病院で役職に就くことだと考えている人もいますが、活躍の場が広がったことに伴い、病院以外でのキャリアアップも可能になりました。訪問看護領域ではステーション管理者として経営に携わるキャリアや、訪問看護認定看護師・地域看護専門看護師の資格を取得して訪問看護のスペシャリストとなるキャリアがあります。
病院看護との違い
転職組の中には病院看護と訪問看護の質が違うことに戸惑う人も少なくありません。訪問看護は基本的に看護師が1人で利用者を訪問しケアするため、病院よりもプレッシャーや責任を大きく感じます。困ったことやわからないことがあってもすぐに聞くことができず、病院のように医療機器や器具が揃った環境でもありません。必要最低限の準備の中で処置していかなければならないのです。
在宅医療は様々な職種の人と連携を取りながら進めていきますが、その中心となるのが訪問看護師です。協力体制をスムーズに進めるためには看護師としての技術だけではなく、高い調整能力も必要です。